スペイン 火花、燎原に火を放つ熱い秋の組織化を

アンティカピタリスタス

住宅闘争の
質的な飛躍

 9月23日、マドリードで警察がマリカルメンを強制的に追い出した。マリカルメンは87歳になる女性だ。彼女の家賃はあるハゲタカファンドにより、同ファンドが新しい事業の冒険に向け共同住宅を欲しいと決めるまで、次第に引き上げられた。その意味では、彼女の事例はスペインで異常なことではなく、毎年数千件の追い出しがある。住宅運動は、しばしばメディアの報道管制を前に日々それらと闘っている。そのメディアは、労働者街で日々の暮らしの一部になっている悲劇の問題になると別の方角を見るのだ。
 しかしながら、今回の件は野火を発火させた火花となった。深く不安をかき立てる映像は、否定できない現実を映し出している。住宅は、労働者階級の主な心配事なのだ。
 家賃は近年指数函数的に跳ね上がってきた。規制のない観光がスペイン中の住宅街と町々を乗っ取ってきた。そして民衆の購買力は、物価が高騰するにつれ下落してきた。全世代が住居の入手を否定されようとしている。そして進歩的政権の8年という道行きを通じて、問題はただ悪化に向かうばかりだった。
 決起はマドリードに限定されることはなかった。連帯と挫折感が駆り立てたひとつの運動が、グラナダからバラドリドまで、多くの都市を吹き抜けることになった。最後はプエルタ・デル・ソル(マドリードの公共広場:訳者)での座り込みになった借家人組合が組織したマドリードでの9月26日のデモは、この紛争における質的な飛躍を刻んだ。

政府と進歩派は
大きな圧力下に


 これはもはや一分野に特定された、あるいはシングルイッシューの闘いではない。住宅は、スペインの進歩的行政の重大な失敗を象徴化するに至っている。そしてそれは、政権の8年間――最初はPSOE(社会労働党)・ポデモス連立、そして今はPSOE・スマール(統一左翼やポデモスの一部などによる左翼選挙連合:訳者)連立下の――が労働者階級が直面する構造的な問題に取り組むことに失敗してきたという事実、を照らし出している。
 この点で、住宅運動は、決定的な勢力へと発展し得ると考えられるような新しい社会勢力を代表している。一方で、政治的空気は変化を遂げた。セウタ危機(地中海対岸のスペイン飛び領土のセウタに、欧州への移民を求めるモロッコの若者が大挙殺到した:訳者)の後反移民の攻勢に出ている右翼を前に、住宅運動は異なった課題設定を進めることができる。
 それはまた、進歩派陣営をもあわてさせることになった。その陣営は、労働者階級の犠牲で資本家の利益を許す諸政策をそっくりそのまま維持する中で、左翼の支持者を右翼への怖れで脅すだけで生き延びることができているように見える。政府はもはやこの問題を無視はできないように見える。つまり、住宅法ほどの「歴史的勝利」における失態は、粉飾を目指すさらなるあらゆるもくろみを不可能にするのだ。
 しかし、単にムードが変わったからという理由は、力関係も変わったと意味するわけではない。右翼は依然民衆陣営よりも強力だ。進歩派は、脅しと「消極的な改革」――すなわち、動員を静めるためのわずかなおこぼれ――のもくろみの組み合わせを通して、情勢の緊張を和らげようとするだろう。
 しかしながらこれらの努力は、この間政府内にいた諸政党が近年に被った信用度の深刻な喪失により動きを妨げられている。スマールもポデモスも、党の主要人物たちが自らの立場を立て直そうと試みているにもかかわらず、住宅運動内部において大きな存在感や影響力を持っていない。進歩派ブロックは、活動家とのネットワークを欠き、政権寄り戦略の信用が失墜した今、社会運動を抑制するための交渉戦術において、これらの政党を『仲介役・パイプ』として利用することに深刻な困難に直面している。

大衆的政治行動
を舞台の中心に


 草の根の運動が前にする挑戦課題は、議会のワナを回避し、独立した大衆的な政治行動を中心舞台に置くことだ。借家人組合の綱領――いわゆる「マリカルメン法令」、そしてハゲタカファンドや銀行が所有する資産の公共住宅ストックを生み出すための収用、家賃の即時半減と賃金の20%に家賃の上限を設定すること、を含む――は、運動の統一、およびそれへの社会的で政治的な強さを通して達成されるような変革ビジョンの提供、に向けしっかりした綱領を提起している。
 これは、運動が長期的にさらに強くなることを可能にするような戦略を採用できるために、組織化と戦術の点で質的な飛躍を必要としている。われわれは、ゼネストのような行動の可能性をよみがえらせる必要がある。そうすることで、運動が次へと進むことができないまま、特定の段階で停滞してしまうのを防ぐことができる。
 ゼネストは、それ自身の真っ向対立的展望に基づいて、連携に関する幅広い政策を必要とする。つまりそれは、労組少数派によるストライキであってはならない。それは、われわれが3月8日のフェミニストストライキの中で見たように、ゼネストを広範な諸行動と組み合わせる中で、労組運動の可能なあらゆる部門に入り込まなければならない。
 このような展望によって、われわれは、今いくつかの自治州で発展中の強力な教育運動や工業部門からの賃金要求のような、自らの階級の他の要求を組み込むことが可能になるだろう。この展望をわれわれが真剣に考えるならば、われわれはいつでも、草の根から決起しつつ、またすべての労組と社会部門にその方向に進出するよう圧力をかけつつ、わが社会基盤を広げるために力を尽くさなければならない。(2026年9月28日、「アンティカピタリスタス」からIVが訳出)

▼アンティカピタリスタスは第四インターナショナル・スペイン支部。(「インターナショナルビューポイント」2026年9月29日)

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