イタリア 批判的左翼協会の決議
危機に突入しているPRCから左へ脱出するために
プロディ政権
への参加とは
1、プロディ政権の明白な政治的危機と政府構成勢力間の対立は、二〇〇六年の選挙で勝利したが右翼に対する真の政治的社会的オルタナティブを代表することができない連合の政治的プロジェクトの破産を示している。
それは予見できたし、予見されていたことであるが、プロディ政権は、イタリア政府の政策の継続性の解決を保証することを考えて、労働者に敵対的な、イタリア資本主義の利益を代表する政府であることを明らかにし、「思いやりのある自由主義」を実践し、多国籍戦争のメカニズムに統合した。[原注1]
この完全な破産は、基本的には、改良主義のマヌーバーの余地がなくなったことの結果である。イタリア左翼が次第に巻き込まれていくとともに破産が進行したことは偶然ではない。それはベルトローニ指導部の下で予定されている民主党(PD)の結成に示されている。[原注2]
政権左派の側は、損害を限定することにほとんど成功しておらず、基本的趨勢を逆転できていない。それどころか、闘争と紛争にブレーキをかけるために共犯者になり、自由主義的政策の積極的参加者になっている。批判的左翼は、プロディ政権の政策に対する反対派を構築すること、またプロディ政権の反社会的・戦争挑発者的政策の支持を拒否することを再確認するものである。
われわれは、数え切れない年金改革に反対するであろうし、ビチェンツァにおける基地建設に反対であるし、高速鉄道(TAV)のような環境破壊を引き起こす政策に反対である。TAV反対、ダルモリン基地反対、われわれはこれに一切協力しない。[原注3]
2、 連合の破産によって、PRCがベニス大会で承認した政治路線も破産したことが明らかになった。「偉大なる改革」も、ブリュッセル(欧州政府)と雇用主団体の指令に直面して失敗が明らかになった。
「良いブルジョアジー」との同盟はコンフィンダストリアのいつもどおりの攻勢に直面して崩壊した[原注4]。イタリアにおいて、右翼がこれほど強くなったことはない。政府の運動に対する鈍感さは、本物の運動に直面したとき、脱走と政府内の無能をもたらした。これは破産であり、この責任は党の指導グループ全体が負わなければならない。
階級協調と
社会的合意
3、この破産は、PRCの取り返しのつかない危機である。われわれはPRCの役割が根本的に終わろうとしているのを目撃しているのである。
イタリアおよび欧州ブルジョアジーの活動的勢力と社会的運動の間の仲介者としての政治的機能は、中身がなくなり、明らかに継続不能である。なぜなら、PRCが運動内部に留まることができなくなったからである。
六月九日の事態は、この状況をはっきり描き出した。未来は、困難かもしれないが、一貫した反資本主義的プロジェクト、階級的独立、中道右派および中道左派に対するオルタナティブの構築とともにある。
4、PRCの消耗は、多かれ少なかれ明白な、危機の右への脱出路を見つけようとする指導部の企てに示されている。すなわち、イタリア左翼の伝統的穏健主義をまたもや提案する「社会主義の再建」への道である。
実際、「乗り越えて進む」とは、今日、主として政治的階級協調に基づいた抽象的左翼統一の枠組みの中で、形態を問わず(連合、「ネットワーク」、単一党、「進行中の作業」など)既存のものとの社会的行政的協調の方向に進むことを意味している。
5、この破産を突きつけられ、PRC指導部が提案した「乗り越え」で終わる歴史に直面して、われわれは根本的なオルタナティブを提案する。危機の左への脱出路、別の「乗り越え」、社会的運動と闘いに向かう道である。政府とPDが課する仲裁の外部での政治的自律と革命的展望の再発見である。それは社会的反対派の核心に存在する。
6、 批判的左翼は、オルタナティブ左翼の構築過程を開始する用意があるすべての勢力、反資本主義的、エコロジスト的、フェミニスト的、国際主義的左翼に対して、ここにこのプロジェクトを提案する。
この政治的再構成の過程は、開かれたものであり、中期的展望を持っており、共産主義再建党の、ジェノバの動員の、運動のおよび中道左派からの独立の最善の経験によって豊かにすることができる。
形容詞のつかない統一左翼の形成を追求してPD創設に応える必要はまったくない。組織的観点からこれは不可能である。なぜなら、イタリアの歴史において常にそうであったように、二つの左翼が存在するからである。
一つは社会的妥協を目指す左翼、もう一つは戦闘的、反資本主義的、階級的、国際主義的左翼である。今日、民主党の左翼においてさえ、二つの左翼が存在している。
2つの「左翼」を
めぐる攻防戦
7、したがって、われわれはこのもう一方の左翼を建設することを望む。この左翼は、革命的課題の存在を保証し、共産主義再建党の最良の伝統を引き継ぎ、常に運動のプロジェクトを重視する。
体制内的政権左翼の破産と社会的敗北が引き起こした困難に対して、われわれは社会的反対運動によって、社会的闘争の動員、統一的ネットワークおよび構造を構築することによって応えなければならない。
われわれはこの統一的アプローチを再確認する。これは与えられた目的に基づいて可能な限り広範な動員を構築することができる。しかし、六月九日および十六日[原注5]の経験ならびに健康および環境を守る複数の地方的闘いの最近の経験に基づいて、われわれは、特定の課題をめぐる、プロディ政権に対する社会的反対運動の枠組みの中での、全国レベルおよび地方レベルの行動の約束を構築することが優先課題であると考える。
戦争反対、ビチェンツァ基地の解体、TAVの拒否、不可欠の要求の防衛、「プライド」の継続が、われわれの仕事の領域である。
しかし、特に社会的領域においては、決定的闘いが今日闘われている。この闘いのために、われわれは、六月九日を組織した勢力と連係し、プロディ政権の政策に反対する秋の大衆的動員の基礎となる社会的行動を計画する。
8、批判的左翼のメンバーであるPRCの同志たちは、党指導部に対して、秋の前に臨時大会を開催することを要求している。
広範で透明性のある思想の対決を可能にするこのような枠組みの中で、われわれは、「社会主義の再建」に対するオルタナティブ・プロジェクトとして、危機からの左への脱出路を提出するであろう。なぜなら、二つの道しか可能でなく、その間には混乱しかあり得ないからである。
われわれは大会にこの作業仮説を提案し、その後直ちにそれを実践するであろう。
9、われわれは、九月二十日から二十三日までベッラーリア(リミニ県)で開催される批判的左翼の全国セミナーへの広範な参加の呼びかける。このセミナーは批判的左翼協会の将来に関する討論にとって、決定的瞬間となるであろう。
最後に、われわれは、十一月九日~十日に批判的左翼協会の全国大会を開催する。ここでは、ベッラーリア・セミナー後に全国調整委員会が作成する文書に基づいて討論を行う予定である。
▲ 批判的左翼協会(アソシアツィオーネ・シニストラ・クリティカ)(ASC)は、プロディ政権への参加を拒否する共産主義再建党(PRC)の少数派によって二〇〇七年一月に結成された。同協会はPRCの内外のメンバーを再編成している。同協会には、第四インターナショナル・イタリア支部である「バンディエラ・ロッサ」の同志たちも参加している。
原注
[1] これは、二〇〇七年七月八日の批判的左翼協会全国調整委員会が全会一致で採択した動議を再録したものである。原文は、ウェブサイトwww.snistracritica.orgを参照されたい。
[2] ワルター・ベルトローニ(一九五五年生まれ)は、政治活動を始めたのは一九七六年、イタリア共産青年同盟においてであった。イタリア共産党(PCI)中央委員としてPCIの左翼民主党(PDS)への転換を支持し、PDS、さらにその後の「左翼民主」(DS)の書記長となった。現在彼は十月に設立予定の民主党の書記長候補である。民主党は、プロディ首相の後援の下に、プロディ政権に参加している中道左派連合を単一の党の下に統一するものである。
[3] いまだほとんど損なわれていないアルプス渓谷を通ってリヨンとミラノを結ぶ高速鉄道に反対する運動、すなわちTAV反対運動、およびビチェンツァ米軍基地の拡張に反対する運動、すなわちダルモリン反対運動は、ロマノ・プロディの中道左派政権に対する反対闘争の中でも最も重要な運動である。
[4] 「コンフィンダストリア」はイタリアの雇用主連合の名前である。現在の指導者は、ベルルスコーニとその前任者の政権に反対したロマノ・プロディの反右翼連合を支持していた。
[5] 6月16日に、ローマで同性愛者の尊厳「ゲイのプライド」のためのデモが行われ、ローマ法王の圧力の下にゲイおよびレスビアンに平等の権利を認めないプロディ政権の傾向にもかかわらず、数十万人が参加し、大きな成功を収めた。
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