エクアドル 先住民、新大統領に闘いを宣言
地下資源抽出産業に反対する
国際的戦線構築もアピール
イアン・ブルス
エクアドルの主な先住民組織であるCONAIE(エクアドル先住諸民族連合)が、全国反鉱業戦線(FNA)と並んで、鉱業および他の地下資源抽出産業に反対する幅広い国際戦線の建設を開始する提案を採択した。それは、FNA第2回全国集会で決定された14の提案のひとつだったが、その運動がカナダの鉱山会社に対し意味のある勝利を収めた中で出てきている。
中央高地で
激突始まる
3月22日のその集会には、エクアドルの3地域(アマゾニア、高地、沿岸)中からの77の先住民と他の組織から800人以上の代表が登録した。その前の週には、カナダに本社を置くアティコ鉱業企業が開発中の銅鉱山計画をめぐって、中央高地のパロ・クエマドでコミュニティの抵抗行動と警察の暴力の新たな衝突が起きた。最初は民兵集団、次いで500人の警察突撃隊が催涙ガスと大口径散弾を発砲して突進したことで、少なくとも、コミュニティメンバーの20人が負傷し、70人が起訴された。
かれらは、コミュニティが鉱山会社による現場への接近を阻止するのを止めようとしていた。そしてその会社は政府と組んで、鉱山の作業を始める道筋を開くためのひとつの方法として、3月27日に「環境諮問会」を開催しようと計画していた。
驚くことではないが、これはFNA集会の中心的焦点になった。そしてそれは、しばしばお祭り的集会だったものに戦闘性の色彩を加えた。パロ・クエマドと連帯する一連の行動が最終決議の中に入れられた。
3日後、ひとつの突破があった。ひとりの地方判事が、コミュニティと先住民運動が力説していたように、憲法が求めているすべての段階が完遂されていないことを理由に、その環境諮問を凍結するよう命令した。彼は、その件に関し4月2日に新たな聴聞を求めた。彼はさらに、不可欠ではない軍と警察の部隊すべてをその地域から撤退させることも命じた。しかしながら、この記事を書いている時点で、パロ・クエマドにはもっと多くの兵士が配置され、多くの民衆の負傷を伴った新たな衝突があったとの報告がある。
直接の標的は
ノボア大統領
第2回全国集会の中心的目的は、石油産業や工業によってコミュニティと環境に引き起こされた破壊への組になった抵抗として、先住民運動の強さを他の小農民運動や社会運動の強さに結びつけるために、この3年にわたってFNAによってなされた努力をさらに高めることだった。直接の標的はダニエル・ノボア大統領の新政権だった。そして彼は、全く驚きではないが、銅鉱山と金鉱山を大規模に開発することに向きを変えている。
ノボアは、エクアドルでもっとも富裕なバナナ王たちのひとりの息子だ。彼は昨年、若く、現代的な新人として売り出すことで、また投票日前僅か数週間前に、エクアドルの若者の内部にウイルスのように広まり続けていたキャンペーン、つまり石油をヤスニ国立公園地下にとどめる国民投票にイエスを投じるキャンペーン、を少なくとも支持するとして現れることによって、昨年大統領選に勝利した。彼は当時早くも、ヤスニ原油からの所得喪失を埋め合わせるために新たな鉱山を開発するだろう、と示唆していた。
新政権の政策は
新自由主義強行
今年はじめにおけるエクアドルの治安危機――麻薬王トップの謎が多い刑務所からの逃亡を受けた――は、ノボア大統領に非常事態を宣言する、そしてそれによって、一連の治安問題に対処するための諸部隊利用を正当化する好機を与えた。彼の批判者が示唆するように、この危機それ自体がでっち上げられたものか否かは別として、ノボア政権は、労働法を緩め、付加価値税を引き上げることを含め、一連の彼の核になる新自由主義改革を押し通すためにこの情勢を利用してきた。
彼はさらに、地下資源抽出産業を発展させることにも強調点を置き、ヤスニに関する国民投票の結果を迂回する道を検討中であり、生物多様性のホットスポットである国立公園で「当分の間」石油のためのボーリングを続けている。パロ・クエマドにおけるアティコ鉱山との衝突がトップニュースに突如躍り込むわずか2週間前、世界でもっとも魅力的な鉱業のひとつとしてエクアドルを売り込もうと、ノボアはPDAC鉱業協会(カナダ探鉱者・開発者協会、トロントで年次のイベントと見本市を開催:訳者)の年次会合のため、3人の閣僚と共にカナダにいた。
抵抗の国際戦線
がぜひとも必要
このすべてがCONAIEとFNAに、それらの闘争で国際的な協力がかつて以上に重要になっていると結論づけさせている。もっとも緊急性があることとして、かれらの土地での略奪的鉱業に抵抗している、そして結果として激しい抑圧に直面しているパロ・クエマドや他のコミュニティとの連帯の即時表明の必要がある。
より戦略的には、CONAIE代表のレオニダス・イツァが第2回全国集会の最後における記者会見で説明したように、かれらは、かれらのコミュニティと環境に対するこれらの攻撃に抵抗している者すべてを結集できるような、鉱業および地下資源抽出産業反対のこの国際ネットワークを可能な限り早期に発展させる必要を理解している。
何をどのように、の詳細は今後徹底的に検討されるべきこととして残っている。しかし、招待は今そこに、われわれの未来と地球のための闘争では前線にいるもっとも重要な社会運動のひとつから来ている。それを拾い上げ、広げ、そしてそれを現実にする道を探るのはわれわれの仕事だ。
▼筆者は、グラスゴーに住むジャーナリストかつエコ社会主義の活動家。元IVのラテンアメリカ通信員。「ポルトアレグレのオルタナティブ:行動する直接民主主義」(IIRE―調査と教育のための国際研究所)の筆者でもある。(「インターナショナルビューポイント」2024年4月5日)
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