オリンピック 偽善のオンパレード

資本家にとって休戦は皆無

ファビエンヌ・ドレ

 2024年7月26日に、オリンピック・ゲームが始まった。2、3ヵ月前にイスラエル軍によって発砲される砲弾について書いていた同じ男の、イスラエル大統領が出席する中でだ。国家首脳として彼は、イスラエル国家オリンピック委員会のアスリートたちを歓迎するためにやってきた。国際法を侮辱している国家の首脳としてだ!
 それは、同じく人権を踏みにじっている多くの他の諸国と同じだ。……ウィグルに関する中国同様、イラン同様、その敵対者を殺害しているミャンマー同様だ。また、そのアスリートの扱いが違っているロシアも同様だ。
 ある者は名誉を得、他の者はそうではない! それがおそらくオリンピック精神に違いない! 
 しかしわれわれは理解しなかった。精力的に調整され、巧妙に費用が費やされた見せ物の期間中、マクロンがわれわれに促したように、したがってわれわれが「休戦」を呼びかけるべきだ、などとは。
 そしてそれでも、搾取、社会的粛清、また全般化された住民支配には何の休戦もない。また社会的休戦も全くない。ダンサーたちは、これをわれわれに思い起こさせて現れた。
 かれらが得ている契約は労働法を尊重していないのだ。そしてかれらはまともな賃金を得ることができていない……予算不足を理由に。実際、CGT―ショーはストライキを指令した(開会式のショーのため集められた臨時ダンサーのストライキは、直前に一定の条件の妥結により中止された:訳者)。
 「非合法的利得」、「情実」、また「影響力のばらまき」を理由として、オリンピックに結びついた6件の予備的捜査が進行中だ――その最新のものは、これらのオリンピック組織委員会委員長であるトニー・エスタンゲの報酬に関係している――。そのことを読者が思い出すならば、このショーは細心の準備がほとんどなかったように見える。
 その見せ物の世界の場合、商品としてのスポーツの場合、寒気を覚えるような国際オリンピック委員会の偽善の場合、休戦は全くなかった。実際その委員会は、ロシアとベラルーシのアスリートにウクライナ侵略を理由に中立的旗印の下でのみ参加することを求め、その誰もが先の侵略を積極的に支持したことがないことを点検した。
 参加者の多くは非常に優れたアスリートだとしても、それでもわれわれは、この変幻自在の区分分けの偽善的な政治的道具化を直視せずに済ますことはできない。その区分けは正しくもウクライナ侵略を糾弾しているが、ジェノサイド戦争、パレスチナ領土に対する不法な占領、さらにパレスチナの子どもの処刑に対するイスラエルアスリートのあり得る参加には沈黙を守っているのだ!
 マクロンが2030年冬季オリンピックを再度やりたいと思っているからには、それは、ジュピター(ギリシャ神話の神々の王:訳者)・マクロンが全く飽きていない見せ物になっている。

▼筆者はNPAの活動家。(「インターナショナルビューポイント」2024年7月26日) 

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