バングラデシュ 独裁政権と対決
猛威をふるう学生運動
ラジカル・ソーシャリスト
まさに今、バングラデシュは機能上、牢獄と墓場へと変えられている。学生たちは、今年7月18日バングラデシュ中で、「バングラ封鎖」と呼ばれたような全国規模のストライキを敢行した。
この運動の背後にある理由は何だろうか? これはもっぱら裏切り者の、ラザカルズの運動だろうか? これは単に割り当て制に対する抗議だろうか?
運動の矛先は
特権擁護策動
この運動は国の高裁による先頃の判決によって火をつけられた。その高裁は、2018年に停止された割り当てシステムを戻すと裁決したのだ。バングラデシュにおける政府の教育と職は、56%が割り当ての下にあり、その30%は自由の戦士(独立戦争時の軍事要員:訳者)割り当てから構成されている。バングラデシュのシステムは、インドの保留システムとしてわれわれが馴染んでいるような、周辺化された人びとや恵まれない人々に向けられた割り当てではない。
これはむしろ、特別待遇を受ける特権階級の創出を通じて永続的に票の貯蔵所をつくり出そうとするアワミ連盟(現与党)による試みだ。述べておく価値があるのは、今回、多くの自由の戦士の子孫たちが運動を支持して発言してきた、ということだ。
2018年、政府は大衆運動からの圧力の下に、この割り当ての停止を命ずるよう強要された。この命令は裁判所で異議を唱えられた。同じ問題に関して、真に恵まれない人々向けの積極行動が始められ、自由の戦士割り当てとは区別されるような、明快な法を政府が採択させていなかった理由は何だろうか?
2018年、学生たちは自由の戦士の家族向けの30%割り当ての改革を要求した。そしてハシナ政権は、これらの割り当てと共に、周辺化され恵まれない人々用に確保された保留分26%も完全に取り除いてしまった。
同じものが裁判所に訴えられた時、問題の割り当てシステムがそっくりそのまま戻された。この運動内の一定の人々が保守的なことは、またある者たちが女性への割り当てに反対していることもあり得ないことではない。しかしながら、運動の矛先は自由の戦士割り当てに向いている。
抗議運動への
汚名貼り付け
この運動はまさに強力だ。後期資本主義の下で、低開発のバングラデシュには非常に僅かな職しかなく、結果として数十万人の若者たちが2、3千の安定した政府の職に希望を抱いて申込に殺到しているからだ。
バングラデシュ政府は多数の利益を気にかけていない。かれらは、中国やインドの資本家を含んで、国際資本に奉仕している。そして、与党と政治指導者たちのポケットを利益で満たすことを期待している。学生運動のスローガンのひとつは、「ブフヤ!ブフヤ!(訳せば、フェイク!フェイク!)」だ。底に潜む意味は、「自由の戦士の家族」はしばしばアワミ連盟に近い者たちに与えられたインチキのラベル、ということだ。
シェイク・ハシナ(アワミ連盟党首で現首相、延べ20年以上首相を務めている:訳者)はこの運動に、ラザカルズのひとつとのラベルを貼り付けようとしてきた。1971年、ラザカルズはパキスタン人を助け、バングラデシュ人の運動に対する裏切り者だった。抗議の参加者たちは「アミ・ケ? トゥミ・ケ? ラジャカル! ラジャカル! ケ・ボレッチェ? ケ・ボレッチェ? シュウオイラチャル! シュウオイラチャル!(訳せば、私は誰? あなたは誰? ラジャカル! ラジャカル! そう言うのは誰? そう言うのは誰? 独裁者! 独裁者!)」とのスローガンで応じてきた。シェイク・ハシナの口から出てくる「ラザカル」の言葉は、ナレンドラ・モディの口から出る言葉の「非国民」あるいは「テロリスト」に似ている。
バングラデシュで学生の大群がこの運動に加わってきた。2024年7月18日現在、64人が犠牲になっている。しかしこの運動ははっきりした左翼の方向で自らを組織することができずにきた。バングラデシュにはジャマーアテ・イスラーミ(イスラム主義の組織:訳者)のような組織がいくつかあるのだ。
ハシナはこの運動に、先のような組織の存在を利用する目的で、ラザカルズの完全なひとつとしてラベルを貼ってきた。これはもちろん、左翼諸組織の敗北であり、それらは自らに有利な強力な対抗的極を生み出すことができずにきた。これらのうち、労働者党(CPIMに近いことで知られる)やJASAD/JSDの諸部分は、完全にハシナにへつらっている。他の組織は運動を支持しているが、われわれは、それらが運動に何らかの方向を今与えているとは主張できない。
民主運動への
国際的連帯へ
われわれは、不公正な割り当てに反対するバングラデシュの民主的な運動を支持する。そして同時に、社会的差別の除去に向けられた保留のシステムを支持する。われわれは、権威主義的なバングラデシュ政府に反対する民衆の民主的な運動を支持し、2023年に統一した左翼によって掲げられた民主的で自由かつ公正な選挙を求める要求を支持する。
バングラデシュの運動と連帯して立ち上がることはインドにおける重要な任務だ。歴史は両国の進歩的な運動が絡み合うと解釈することになるからだ。
われわれはまた、バングラデシュと連帯した抗議行動参加者を拘留し、かれらをコルカタ(インドの西ベンガル衆の州都:訳者)警察本部に送ったコルカタ警察の行動も強く糾弾する。願わくは民衆の民主的な運動が独裁者の団結に反対することで強くなることを。(2024年7月19日)
▼ラジカル・ソーシャリストはインドの急進的左翼組織で、第4インターナショナルのパーマネント・オブザーバー。(「インターナショナルビューポイント」2024年7月21日)
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