メキシコ 最新司法改革には多くの問題
AMLOの毒入り遺産?
ラテンアメリカ委員会/反資本主義新党
空前の人気抱え
AMLOは退場
9月15日、メキシコの公休日、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)は、メキシコシティの主要広場であるザカレロに集まった30万人の熱気溢れる人々の前で「別れの」演説を行った。AMLOは、6月成功裏に選出された新大統領のクラウディア・シェインバウムに道を譲り、10月1日に職務から降りた。
彼は在職の6年間を自讃した。経済は今全体的に大いに肯定的な数字を示し続けている。最低賃金、年金、さらに若い人々向けの助成金を引き上げる諸方策は、インフレで相殺されていず、そのインフレは、ほとんどのラテンアメリカ諸国よりも相当に低いままだ。
メキシコの労働者、先住民コミュニティ、また貧しい人々にとって、6年の任期の始めに当たって行われた「5回目の変革」という約束は依然として高められた希望には足りていない。しかし、何十年にもわたる以前の政府すべてとの違いは、メキシコにおける空前の高さになる人気度(70%以上)をもったままチアパスの彼の地所に彼が「立ち去ろう」としているほどのものだ。
現司法の実態は
依然右翼の拠点
彼は、野党とブルジョアジーの大きな部分の不満と相対して押し通した最後の大きな憲法的な法の強要を、彼が承認し、彼の政党であるMORENA(国民再生運動)のメンバーでもある先の女性に預けようとしている。それは司法の改革だ。
メキシコではこの法によって、トップから階層の底辺までの判事は複雑でしばしば不透明な手続きで選抜された。これは、影響力のばらまき、身びいき、そして広範な汚職に対し余地を残した。最高裁もまた特権階級の利益のための覆いとして機能し、いくつかの場合にAMLOが発布したかった社会的法令や反新自由主義の法を阻止してきた。
彼は大統領としてそのメンバーの何人かを指名する権限をもっていたとはいえ、この法廷の現メンバー11人のうち、彼に味方したのは3人にすぎなかった。概して言えば、メキシコの司法は明確に、右翼と金持ちの拠点だ。そしてAMLOは、また新大統領までも、ルーラやディルマ・ルセフに対しブラジルで実行されたもののような、「制度のクーデター」を恐れていたかもしれない。
司法改革を
人民は支持
通されたばかりのこの法は、メキシコの判事すべてが人民によって選出されるべきと規定している。それは、下院と上院両院で有効な多数により承認された(いくらかの非民主的な策謀を経て)。しかしそれは、右翼諸政党(PAN、PRI、PRDその他)の連合だけではなく、公務員と司法労働者の広大な多数までおよぶ真っ向からの反対にぶつかった。
5万5千人の司法労働者がこの法に反対し一ヵ月以上ストライキに決起し、街頭で数万人によるデモが行われた。もちろんかれらは、旧体制の諸政党によって、また主流メディアによって大声で支援された。他方、住民の広大な多数はこの法を支持している。かれらが現在の司法を全く信頼していないからであり、またそれを提案しているのがAMLOでそれに反対しているのが右翼だからだ。
相談なしの
法押しつけ
しかしながらこの法は、数多くの社会的、政治的、さらに民主的問題を提起する。司法労働者の大きな部分が、その多くはAMLO支持者なのだがそれに反対だとすれば、その理由は、それがいかなる相談もなしにかれらに押しつけられたからであり、またそれが内部的昇進のための数多くの機会に終止符を打つことになるからだ。
はっきりしていることは、現在の情勢では、特に判事職候補者選抜のための手続きのおかげで、AMLOの党が政府の3部門――行政、立法、司法――を支配することになる、ということだ。しかしその手続きは高度に不透明なままであり、多くのレベルでの策謀や腐敗を止めそうにはない。
要するに、この改革はAMLO下政権の性格に特徴的なのだ。つまり、システムを改革するという本当の切望は全くなく、それは、上から適用され、大きく不完全で、いかなる形でも民衆動員や民衆の統制にではなく、至高の指導者にのみ依拠しているのだ。(2024年9月26日、「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)(「インターナショナルビューポイント」2024年10月5日)
【訂正】前号10月21日号、2面老朽原発動かすな!高浜全国集会記事上から3段目、中見だし「脱原発の妨げは我々の心の中に」の次の行「樋口さん:志賀原発」を「 樋口さん:珠洲原発」に訂正します。同8面の韓国はいま、「集団虐殺の共犯者である高麗大学の行いを糾弾する」の記事は3回続き、前号は(上)でした。
(編集部)
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