ブラジルは燃えている

ルラ政権の無策はもう許されない

イスラエル・ドゥトゥラ／ロベルト・ロバイナ

　国中の火災と大気汚染が、政府の方策の不十分さを見せつけ、気候の非常事態に対する民衆的な決起を求めている。

気候危機悪化
と政治の無策

　この国の気候における歴史上最悪な週として、たとえばペドロ・セラノがつい最近指摘したように、山火事、極度の高温、恐るべき大気の質があった。
　サンパウロの状況はぎょっとするものだ。少なくとも２週間、空は煙のせいで見ることができなかった。そして、この問題に直面しているのはサンパウロだけではないのだ。国中で状況は似ている。たとえば、ベロホリゾンテとブラジリアでは、降雨のない日が１４０日以上続いた。アマゾンと中西部は煙で覆われている。砂漠に匹敵する湿度の水準を示すいくつかの地域を伴って、今ブラジルは燃えている。そしてサンパウロは、世界でも最悪な大気の質をもつ都市の部類に入る。
　これは、気候危機が悪化した３度目だ。つまりわれわれは、パンタナルとアマゾンを危険にさらしたボルソナロ政権の惨害を経験した。また、リオグランデ・ドスルーの破壊（大水害:訳者）があった。そして今や、熱波と火災による気候破局における新たな段階だ。政府の対応は不十分だ。
　リラ（下院議長:訳者）の続投に向けた交渉に巻き込まれ、セントラン（明確なイデオロギー的方向性をもつわけではない利権志向の右翼・中道右派の既成エリート政党ブロック:訳者）に支配された国会は、いつも火を放つ者たちの味方をしている。議会は地主に支配されている。アグリビジネスと連携している州政府は沈黙している。ルラ政権はいわば歴史的な干ばつの最中に、破壊的なアグリビジネスへの会釈として、いわゆる「世界の果てへの道路」というＢＲ―３１９再建に投資するつもりだ、と公表した。

大胆な取り組み
が緊急に必要だ

　深刻な気候危機に対処するために、われわれは一定数の水準に耐える大胆な取り組みを必要としている。すなわち、非常事態を宣言することに加えて、「最前線」に見合った諸方策が、たとえばサンパウロの下院議員、モニカ・セイクサスが提案したような、マスクの配布、大気の質が耐えられない場合の休日、極度の高温に対する冷却計画、などが不可欠だ。
　われわれは、たとえばＩｂａｍａ（ブラジル環境・再生可能天然資源院）やＩＣＭ―Ｂｉｏ（チコ・メンデス生物多様性保全研究所）のような、環境保全に責任を負う諸機関を強化し、それに投資する必要がある。先頃の公務員ストライキは、政府が、もっぱら財政調整に気を取られて、戦略として問題に取り組む上で決定的な分野を扱うことがどれほどできずにきたか、をはっきり示している。
　火災の主な犯人はアグリビジネスの地主たちだ。かれらには、健康的な食料生産に役立つ持続可能なモデルに生産構成を変える農業改革に基づくもうひとつの道を指し示しつつ、超集中的農産品輸出モデルと決裂することによって取り組むことが必要だ。
　ブラジルは、真の再生可能エネルギー移行を明言し、新たなフロンティア（たとえば赤道近辺の辺境）の石油探査を凍結する必要がある。
　上記との組として、１月８日の反乱の策謀者に闘いを挑み、かれらを処罰しなければならない。これらの者は、今アマゾンに火をつけている者たち、金採掘者、土地の強奪者、と同じ者たちだ。反乱の基盤はブラジルを破壊している者たちと同じなのだ。

破局を前にし
左翼の責任は

　指導的な気候の権威の１人である科学者のカルロス・ノブレ（地球温暖化関連の研究で注目されている:訳者）は、われわれが今経験中のできごとは、気温の平均的上昇とバイオマスの破壊が原因でいわゆる「後戻り不可能な地点」に導く可能性もある、と公表している。
　われわれを駆り立てる緊急性は、この任務に耐える左翼を必要としている。われわれはこれらの旗に基づいて、幅広い民衆的決起に役立つ具体的な行動路線に基づく緊急計画を擁護している。われわれは、「気候連合」のような運動体と一体となって、伝統的な「樹木の日」の日付けを利用して20、21、22日に向け呼びかけられたデモに加わっているだろう。
　近づく選挙でわれわれは、ＰＳＯＬは上記の要素の枠内で行動する――この約束に基づいて対象者を選出する――と主張する。そして、ＰＳＯＬおよび党が支持する戦線の市長候補者がもうひとつのモデルを求める闘いの前衛になるために闘うことを主張する。
　迫りくる破局からの唯一の出口は、非常ブレーキをかけることだ。

▼社会学者のイスラエル・ドゥトゥラは、ＰＳＯＬ全国執行部の国際関係書記、かつ社会主義左翼運動（ＭＥＳ、ブラジル内の第４インターナショナルシンパサイザー組織）の活動家。
▼ロベルト・ロバイナは、ＰＳＯＬおよびＭＥＳの指導者でポルト・アレグレの住民。（「インターナショナルビューポイント」２０２４年９月20日）　　