イタリア ジジ・マラバルバへのインタビュー

社会的衝突再発の兆候か?
長期の受動性後のゼネスト

 11月29日、CGIL(イタリア労働総同盟)とUIL(イタリア労働同盟)が呼びかけたゼネストにイタリアで50万人の労働者が参加した。われわれは、イタリアでの社会的闘争に向かう新たな活動期の夜明けにいるのだろうか? それは、バーバリズムにかつて以上に沈み込もうとしているように見える欧州でのかすかな希望だ。元労組活動家で共産主義再建党(PRC)リストでの元上院議員のジジ・マラバルバにランティカピタリストが聞いた。

明確な反撃は
踏み出された

――メローニ政権の2年以上、そして社会運動の明らかな無気力さを経て、11月29日のゼネストは闘争の新たな局面を示しているのだろうか?

 11月29日のストライキは事実として、ジョルジャ・メローニの極右政権の誕生よりずっと前に遡る長期の受動性、つまり彼女の台頭を助けた受動性を経た、社会的紛争再発の兆候だ。労組運動は、10年以上の間次々と継承されてきたすべての政府が実行した自由主義の諸政策により加えられた厳しい攻撃に、一度も十分な対抗を行わずにきた。それらの政策の例としては、労組の諸権利に関する労働者の法規からなる憲法18条の廃止、退職年齢の後ろ倒し(フランスでもくろまれたものよりもはるかに悪質)に関するフォルネロ法、公衆衛生と教育のシステムにおける諸々の私有化と過酷な切り下げ、労働関係の極端な不安定化、急落を続ける賃金を前にした懲罰的な課税の諸方策、などがある。宣言された僅かのストライキは最良でも、象徴的な不同意の表現であり、これらの方策に反対する切望の表現では決してなかった。
 今日われわれは、非常に遅れたとはいえ、ただひとつのツール、つまりゼネストで対抗した。それは疑いなく、あらゆる戦線でうっすらと迫ろうとしている奈落に対する気づきの高まりの結果だ。その奈落は、民主的かつ憲法的な諸規定に挑戦している現政権、また一定の産業政策が現れることもないまま国の生産機構全体に病変を起こしつつある経済危機によるものだ。
 このゼネストはまた、企業の闘いと部門単位の闘争にも出口を与えた。これらの闘争は、あまりに長い間孤立したままにされ、また労働者に非常に不都合な力関係に挑戦できずにきたのだ。

決起の水準には
まだ不足が多々


――あなたは、労働者はいわば諸事情のもつれからだけではなく前線に戻りつつあると、それだけではなく、長期の闘いに向け自身を再組織し始めることもできる、と言いたいのだろうか?

 イタリアの最大労組連合であるCGILの指導者、マウリツィオ・ランディーニが、右翼からの破壊という糾弾を引き出してまで、「社会的反乱」に向かう必要について発言した時、彼は彼自身の機構内部での信用をほとんど確保していないように見えた。この機構はもはや、目標達成まで抵抗闘争を組織しようとはせず、いわゆる「調整」として制度的な仲介の場を見つけることに自身を振り向ける方を選んでいるのだ。それは、長い間敗北の道となってきた選択肢だ。
 11月29日、現場にいた労組のほとんどすべては CGILとUILと共にストライキを宣言した。それは、別々の隊列の形であれ、初めてのことでありまた幸いでもあった! そしていくつかの社会運動も、「ゼネストの全般化」を目的にこの闘争日に加わった。しかしながら、これらの前向きな兆候も残念ながら、現在の衝突のレベルに必要とする動員の度合の維持を可能にする性格をもってはいない。
 さしあたり、FIOM(冶金労働者連盟)と金属労働者だけがこの闘争に継続性を与えることができそうに見え、職場での組織的構造、および11月29日でのはっきりした戦闘性を維持してきた。かれらは、かれら自身の全国的な協約をめぐる争議を開始し、職を防衛する(ステランティスの危機、自動車産業の供給網全体、さらに不況の瀬戸際にあるドイツ工業を考えて)めざましい闘争の中心にいる。

社会運動の役割
は非常に大きい


――社会的決起のこの復活の中で、フェミニストの闘争、国際連帯(特にパレスチナ民衆に対する)、さらに気候の非常事態はどんな役割を果たしているのだろうか?

 社会運動の役割は、特に資本主義が立ち向かうことができないいわゆるエコロジー的移行を前にしたそれらの戦略的な価値の点で決定的だ。特に若者の中で非常な盛り上がりを経験してきたエコロジー運動は、パンデミック後まだ同じ勢いを取り戻していない。しかしながら、労働者運動とエコロジー運動間の合流は、発展、共通のプラットホーム、またフィレンツェにある元GKN(自動車部品工場)の闘争を軸としたイニシアチブからなる極度に高いレベルを経験してきた。そして元GKNの闘争は、レイオフに立ち向かい、3年半の間、エコロジー的転換のための、全国規模での気候的で社会的な公正を求める運動再起動のための闘いを継続できてきた。
 フェミニストとLGBTの運動もまた、自立的決起に基づく領域にとどまっている。その決起は今年再度、11月23―25日の期日〔女性への暴力の排除を求める国際デー〕を軸に数万人の女性を街頭に引き出した。等しく意味のあるものは、特に諸々の大学におけるガザでのジェノサイドに反対する国際的決起の継続だ。
 最後にこの12月14日、治安に関する法令1660と闘う最初の全国デモが行われるだろう。この法令は、あらゆる社会闘争と労組の闘争に対し抑圧を準備しているのだ。ロンバルディとエミリアでの労組活動家に対する3千件以上の告発を考えてみよう! これは、ファシスト時代の悪名高いロッコ法令のいわば改悪版だ。幸いなことに、先の決起には幅広い諸勢力が姿を見せるだろう。

種の発芽には
長い時間必要


――政権の諸政策(あらゆるところでの切り下げ、治安法令、自己責任、頂点への権力集中、など)を前に、労働者階級の抵抗能力をあなたはどう見ているか? 民衆の怒りを組織できる、また諸闘争に向かう展望をも概説できるのはどんな勢力か?

 局面を変える成分はすべてそこに、また時をそろえてある。しかしながら、何年にもわたる急進左翼と改良主義左翼の敗北の長波は、減退の兆候を全く見せていない。むしろ逆に、「反戦」の立場が抱える曖昧さ――一方での激高したNATO主義、他方での現実から切り離された陣営主義の論理、その間での――は、ひとつのオルタナティブのあり得る再建の翼に内包された重しだ。
 戦闘的左翼による近い将来における政治的主導性の再開を思い描く上では、これまでにあまりに多くの後退が、また大局観のあまりに多くの喪失が続いてきた。われわれはあらためて、「合流」から、数十年間破壊されてきた抵抗の、社会的かつ政治的な構造の再建から始めなければならない。つまり、種はある、しかしそれを発芽させるには長い時間を要するだろう。

 以下は、民衆連合(ジュネーブ)の機関誌向けのステファニー・プレツィオソによるインタビュー。
 ジジ・マラバルバは、アレセのアルファロメオ(フィアット)の組み立てラインでの30年以上の職歴をもつ労働者で、FIOM、その後シン・コーバスの元労組指導者、かつその後PRCリストで上院に2回選出された。彼は近年、ミラノのリマフローと共に、今はフィレンツェのGKNと共に、労働者自主管理構想に関わってきた。「運動における自主管理」は、彼が現在活動している社会・政治組織であり、その運動は、その争議の強い影響力を組織的に浸透させるためにGKN工場共闘を起点に、他の諸勢力と共に共同巡回を始めている。
(2024年12月12日、「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)

▼ジジ・マラバルバは、バンディエラ・ロッサ(PRC内のイタリアにおける第4インターナショナル支持者)、およびPRCの指導者のひとり。
  

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