ネパール:南アジアの新しい時代とZ世代の決起 (下)
腐敗・圧政への怒りで政権を打倒
フェイジ・イスマイル、フレイザー・サグデン
「ネポ・ベイビー」への嫌悪と憤り
10年代以降のスマートフォン時代の社会現象となってきたインフルエンサー文化の中で、特に多くの低所得国で台頭してきた資本主義エリート層が象徴している格差拡大についての意識が高まりました。このエリートたちは資本主義的投資、レントシーキング[地代や投機]、そして汚職によって富を蓄積してきました。それに伴って、いわゆる「ネポ・ベイビー[世襲特権層]」に対する嫌悪感や憤りが高まっています。アジア、特にフィリピンではこの用語はソーシャルメディア上で政治的脈絡でも使われ、政財界における有力な一族の子孫を指し、それらの一族が不正に蓄積した富を暴露する際に言及されます。
ネパールでは「ネポ・ベイビー」に対する批判はZ世代の運動の重要な要素となっています。都市の若者たちは自分たちが、政治的コネのあるインフルエンサーと同じデジタル空間の中で、大部分の若者の日常生活からかけ離れたライフスタイルを誇示していることに気付いたからです。このような状況に対して、全世界で都市部の広範な層の若者の間で抑制されてきた怒りが表面化し、拡大しているのです。汚職への怒りや、就労機会がないことへの不満、教育へのこれまでの投資が無駄になることへの憤りは、スリランカ、バングラデシュ、そして最近ではネパールで起こった若者を先頭とする決起の主な要因でした。この地域で、経済的には最も周縁的な国の一つであるネパールでは、汚職の規模の大きさと、内戦後の政治的和解に関する公約の違反に対して特に大きな怒りが広がりました。
ネパールにはいくつかの重要な政治的課題があります。大規模な青年の運動を経験した他の地域の事例が示すように、支配階級は多くの場合、非常に短期間でその権威を回復する傾向があります。ネパールでは06年と15年にそのような経験があります。また、大きな問題として、誰がこの国の政治的将来を決定するのかという問題があります。多くの青年を中心とする運動は農村ではなく都市で展開されてきましたが、多くの低・中所得国の人口動態を考慮すると、そのために政治的ジレンマに直面します。ネパールは急速に都市化が進んでいますが、それでも人口の約四分の三は依然として農村に居住しており、その三分の二は農業と海外からの送金の循環に閉じ込められています。
貧困層・労働者階級の運動との結合が課題
内戦当時と現在では、農村経済を規定する政治的現実が変化しています。海外からの送金は多くの若者を毛沢東主義運動へと駆り立てた圧力弁を解放しました。しかし、内戦終結から20年が経過した今も農村と都市の両方における生活不安のより深い構造的原因は未解決のままです。それらの原因には土地と資産の分配における極端な不平等(多くの場合、カーストや民族によって固定化される)、過去には活気があった家内工業の壊滅、負債のスパイラル、雇用機会の不足などが含まれます。また、人口移動の結果として農村社会組織が弱体化し、農民の潜在的な動員力を掘り崩しています。
その間に既存の政党は農村で再び権力を掌握し、限られた国家資源の配分を仲介し、国家機関と非国家機関の両方に浸透しています。今でも選挙では信用を失った政党やリーダーが再選される可能性が十分にあります。ネパールでも、この地域全体においても、新しい進歩的な政治勢力が権力争いを恐れないこと、そして、もっと重要なこととして、貧困層と労働者階級の関心を表現している運動とのつながりを維持することが不可欠です。
(おわり)
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