シリア クルド統治機関とダマスカス間の合意について
ジルベール・アシュカル
クルド系シリア人運動とシリア新政権間の近頃の合意をわれわれはどう解釈すべきだろうか? それは、シリア北東部における10年におよぶクルド人の自治の終わりを印しているのだろうか? あるいは、その後短い期間に崩壊に向かうだけの、最終的とされた中東の諸協定の長いリストに加わることが運命づけられた単なる一時的な取り決めだろうか? この疑問に答えることは、合意それ自身とそれを生み出した環境の性質両方に関する評価を必要とする。
シリア内力関係
に基づいた妥協
特記すべき第1点は、1月30日に公表された合意が、そこでの釣り合いがダマスカスの政権に有利に傾いているような妥協になっている、ということだ。それは、そのどちらも戦闘を継続する能力をまだ失っていないような、2つの勢力間でまとめられたという限りにおいて、ひとつの妥協だ。
実際、シリア民主軍(SDF)は、主としてそれらのクルド人の中核にまで大きく縮小された後でも、現在のシリアの力関係において今なお実質的な戦闘力を維持している。それらは、1世紀にわたる分割と抑圧を通じて鋳込まれた民族的大義に動機づけられた数万人の経験豊かな戦闘員――男と同じく女の――を率いている。その上、かれらの政治的背骨は、歴史的諸変化に適応してきた、こうして深い根付きを保っているイデオロギー的潮流に支えられている。
対照的にシリア新政権は、クルド勢力より相当に大きいわけではなく、団結もない。それらはハヤト・ターリル・アル・シャム、他のジハーディスト諸グループ(そのいくつかは非シリア人)、そしてアンカラに直接的に忠実な諸部隊――いわゆるシリア民族軍に属する部隊――から構成される混成的連合だ。
新政権枠組への
限定的統合へ?
この形勢は、クルド側が孤立と包囲を防ぐための外からの支援を受けるとの条件で、かれらに、相当期間ダマスカス諸勢力に抵抗する余地を与える、ということを意味する。しかしながら、そうした支援を提供できる2つの主体共がシリアのクルド運動を裏切った。
もちろん第1は米国であり、それは現トランプ政権の下で、対ISIS戦闘でのSDF依存から、トルコとアンカラに後援されたシリア新政権への依存へと姿勢を変えた。第2は、アンカラの親密な同盟者であるバルザニ一族が率いるイラク北部のクルディスタン地域政府だ。
逆にダマスカスの新政権諸勢力は、クルド運動との衝突において確固として無制限の支援をトルコから受けている。この現実を前にSDFに残されているのは苦いふたつの選択肢だ。つまり降伏するか、それとも尊厳を保つため戦争に打って出るかだ。後者は、ヒロイックだが結局空しい、歴史を通じて目撃された叙事詩的な闘いというものに近い、自殺的になることを敢えて行うような戦争なのだ。
SDFは、地域レベルであれ――この地域の現在の変わりやすさを前提に――、国際レベルであれ、環境の変化を期待しつつ、時間を稼ぐ目的で妥協を選択した。国際レベルでは、トランプの気まぐれさ、エルドアンの影響力を相殺させるというネタニヤフからの圧力に対するトランプの脆さ、したがって彼の立場がまだ動くかもしれないとの可能性、が前提になっている。
ダマスカス政権の方もまた、シリア領土の残りに対する支配を打ち固めるその努力を掘り崩す可能性もあるような、あるいはアンカラへの依存をさらに深め、それにより政権のイメージを傷つけその野心を制限する可能性もあるような、北部での激戦に取りかかることへの妥協をより好んだ。この妥協は必然的に、クルド自治政府とその武装部隊の即時解散を求めるその要求、またSDF支配地域核心への政権軍大部隊の展開に関する無理強い、これらをダマスカスが放棄することを伴っていた。代わりに協定は、これらの部隊の、新シリア国家の軍部門の枠組み、また行政的かつ法的枠組みへの統合に向けた、限定された歩みの開始を規定した――その解釈は、なおも争われるかもしれない――。
政治闘争伴う
戦争継続の道
したがって、現在の妥協が紛争を解決していず、代わりにそれを軍事的な面から政治的な面へと移した、ということに疑いはほとんどない。この新たな局面は、確言にあるような、戦争それ自身が他の手段による政治の継続であるとまさに同じように、他の手段により戦争を継続する政治闘争を伴うだろう。
クルド側は、自治への正統な熱望の達成として、この自治機構が公式にシリア国家へと統合されるとしても、それが10年間行使してきた事実上の自治の維持を追求するだろう。その間アンカラは、クルドの完全な降伏と中央集権化された支配への服従を求めるその要求を強めて、しつこくかつ容赦なく圧力をかけるだろう。
次いで問題は、受け容れると各々が主張している妥協の範囲内に情勢を維持するよう、ワシントンが双方――クルドとトルコ――を抑制できるかどうかだ。これは非常に不確実な賭だ。よりありそうなことは、先の合意の脆さがまもなく明白になるということ、また世界のこの部分ではあまりになじみ深いパターンとして、まさに一時的として、この合意に他が続く形で、総意の言葉に再び戦争の言葉――そしておそらく行為まで――が打ち勝つということだ。(2026年2月3日、情報源明示による多言語での掲載と再掲載自由の、著者のブログ「アル・クズ・アル・アラビ」掲載のアラビア語初出からの訳出)(「インターナショナルビューポイント」26年2月3日)
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